NHK総合診療医ドクターG【背中に激痛!55歳女性人気講師に
謎の7日間▽意外な手がかりが浮上あなたも名推理!】
◎ドクターG:徳田安春(水戸協同病院総合診療部医師)
◎研修医(医師免許を取得して臨床研修を行なっている医師):
・川上敦司(京都府・宇治徳洲会病院)
・宮本麻菜(長野県・諏訪中央病院)
・山崎信太郎(千葉県・亀田総合病院)
●今回の患者…松山浪子(55歳女性、企業セミナー講師)
【基礎データ】体温36.5度、血圧150/90、脈拍100回/分、呼吸数26回/分
【主訴】背中が痛い
企業研修の講師として活躍する55歳の女性。地方でのセミナーを終え、
都内に帰ってきたところ、突然、背中の痛みを訴えた。この1週間は
研修会場のホテルに缶詰状態だったが、健康には気を配り、毎日、
ウオーキングで体を整えた。また、健康診断を機に服用している薬を
欠かすことはなかった。それなのになぜ…。ドクターGはホテルでの
生活を詳しく問診し、ある重要な手がかりをつかんだ。
【診断】脊髄硬膜外血腫(せきずいこうまくがいけっしゅ)
脳と脊髄は硬膜に覆われています。この硬膜の外側にある血管から出血して血がたまるのが
硬膜外血腫です。不整脈(心房細動)などで血液が固まって脳梗塞などを起こさないように、
血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど抗凝固剤)を服用している人などに起こりやすい
病気です。背中の激痛のほか、血が脊髄を圧迫して、足が麻痺することもあります。
レントゲンではわからず、MRIで確定することが多く、紫色のアザがでる場合もあります。
治療は、自然に血が体内に吸収されて症状がよくなることもありますが、場合によっては、
手術で血腫を取り除くこともあります。抗凝固薬のワルファリンは大量のマンゴーと一緒に
服用すると、相互作用で、更にサラサラ効果が強まり、出血しやすく血腫を作りやすくなります。
(2005年、世界的に権威のある「内科学紀要誌」に研究者A.ホルブルックが発表しました)
特定の食物の過剰摂取は、薬剤との相互作用を起こすことがあります。詳しいことは、
かかりつけの医師、または、薬剤師へご相談ください。※ワルファリンは薬品名です。
商品名ではありません。
今回の患者・松山浪子さんは直ちにワルファリンの服用を中止、血液を固める成分を注射した結果、
ほどなく背中の痛みもとれ、特に後遺症もなく完治しました。