NHK総合診療医ドクターG【夫が出張のたびにせきと胸痛が…
44歳主婦を襲った謎の病気とは?推理さえる研修医】
◎ドクターG:塩尻俊明(国保旭中央病院総合診療部医師)
◎研修医(医師免許を取得して臨床研修を行なっている医師):
・堀内滋人(神奈川県・湘南藤沢徳洲会病院)
・伊東藍(東京都・立川相互病院)
・網屋亮平(京都府・洛和会音羽病院)
●今回の患者…田中陽子(44歳女性、主婦)※身長162cm、体重58kg
【基礎データ】体温38.3度、血圧135/90、脈拍80回/分
【主訴】風邪じゃないかも…
日ごろからバレーボールを楽しみ、元気いっぱいの44歳の主婦。2か月前から
風邪のような症状が出始め、治まったと思ったら、また症状が出る。市販の薬は効かない。
なぜか、夫が出張する2週間おきに症状が現れる。手足の関節に加え、胸のあたりも
痛みだした。
【診断】再発性多発軟骨炎
再発性多発軟骨炎は原因不明の難病。全身の軟骨組織に炎症と破壊が生じる、まれな病気。
男女差はなく中年に発症することが多く、自己免疫が原因といわれている。耳、鼻、関節、気管
などの軟骨が炎症を起こし破壊されることでさまざまな症状が出現する。発熱、関節の痛み、
咳などの症状は、寛解(かんかい;症状が落ち着いている状態)と増悪(ぞうあく;ますます悪く
なる状態)を繰り返す。耳の軟骨に発症することが多く、耳の奥が痛み、赤くなったり、変形したり
する。手足の関節軟骨、鼻の軟骨が炎症し痛むこともある。特に注意が必要なのは気管軟骨炎で、
軟骨破壊の結果、呼気時に気管が狭くなり、呼吸困難が生じることがある。
今回の患者・田中さんの症状、せきや発熱・喉(再発)・関節・胸の痛み・鼻や耳の赤みは
軟骨が炎症を起こしたため。再発性多発軟骨炎は患者によって症状は異なる。
治療はステロイドや免疫抑制剤を使用する。